1期生 卒業論集
【1期生 卒業論文 巻頭言】
金城ゼミ第一期生の卒業論文集が刊行されたことを大変嬉しく思います。海のものとも山のものとも分からない当ゼミに勇気をもって入門され、一緒にゼミを作り上げてきた皆さんの力作を前に感慨深いものがあります。
卒論のテーマは様々でしたが、共通して常に問うたものがありました。それは、「あなたの主張は何ですか」という点です。日本では、主張(argue)する人は好まれない風潮があります。奨励されることは稀です。男性と比較すると、女性の方がその傾向が強いかもしれません。そうであればこそ、主張をする場として卒論を位置づけました。
主張とは、単なる思いつきを叫ぶことではありません。主張するためには入念な準備が必要です。先人の蓄積を丁寧に追い、理解しなければいけません。その上で、時間をかけて考えを深め、分かりやすく説得力をもって説明する必要があります。不安を乗り越え、暗闇をさまよい、批判に耐えたあとにやっと主張らしいものが形成されます。それからも大変です。何度も文章を書いては書き直し、ようやく発表できるものができあがるのです。
このような面倒なことができるのは人間だけです。人工知能(AI)が発達しても、容易にはできないでしょう。また、すべての人間にできるものでもありません。本を読んでも講義をいくら聞いても、主張する方法論とその醍醐味は、苦労して各人で身につけ味わうしかありません。卒論を執筆される過程で、皆さんはこの貴重な技術を取得されたと思います。最後のゼミで、後輩への卒論執筆のアドバイスを一人ひとりの方が自分の言葉でしっかりと語られるのを伺い、そう確信しました。この経験を大切にされてください。
もちろん、主張することは世俗的な成功を保証するものではありません。主張することで、ときには不利益を被ることもあるでしょう。主張することの大変さと面白さは、それを体験した者でなければ分かりません。しかし、2年間ゼミで過ごした仲間には分かります。主張することにくたびれたとき、くじけそうになったときは、いつでもゼミに帰りゆっくり休養して英気を養ってください。人生にはそういう場と仲間が欲しくなる局面が誰にでもあります。
皆さんのおかげで、本ゼミもひとり立ちできるようになりました。第一期生として、後輩達を暖かく応援してくださるようお願いします。そして、ご自身でなければ生きられない、主張のある良き人生を歩まれてください。
ごきげんよう。
2016年1月吉日
金城亜紀
【テーマ】
『変化する国内アパレル市場とSPA方式をとるファストファッションブランドの研究 一ケーススタディ ファーストリテイリング社の現状と展望一』
『日本の雇用形態からみる非正規雇用と働き方 一「均等待遇」における労働一』
『SPAの有効性 一ユニクロをケーススタディーに検証する一』
『現代市場の脱コモディティ化戦略における、経験価値マーケティングの有効性 一ルイヴィトンとスターバックスコーヒーの成功事例から一』
『アーケードゲームの市場拡大 一キッズカードゲーム戦略と高齢者の親和性―』
『音楽ビジネスモデル変革期におけるコンサートビジネス ―コンサートプロモーターを中心とする360度ビジネスの可能性ー』
『非正規雇用の実態と考察 一雇用形態からみる非正規労働者一』
『金融におけるアセットマネジメントの役割―映画「インサイドジョブ」から示唆される問題を踏まえ、マスタートラストについて考察するー』
『日本の空港が世界のハブ空港へと成長する可能性 ―成田国際空港と羽田空港の一体化運営を目指してー 』
『日本の空港商業施設拡張の必要性 ―その手段としての民営化ー』
『韓国音楽市場にならう、日本の音楽市場の展望―ケーススタディー:SMエンターテイメントー』
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